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私自身が月刊「医薬経済」へ連載している部分の原稿を本ブログにて少しだけご紹介していこうと思っています。
もしよろしければご覧になってみてください。
■今回は「上咽頭から始まる命の医療〈2〉「Bスポット療法」の手技と効果」から
上咽頭から始まる命の医療
〈2〉「Bスポット療法」の手技と効果
前号では、元東京医科歯科大学耳鼻科教授だった故堀口申作氏が考案した「Bスポット療法」を引き継ぎ、57年間にわたって上咽頭の治療に取り組んでいる耳鼻科医・谷俊治氏の「Bスポット療法」との出会いから現在までの経緯、故堀口教授が「Bスポット療法」を考案した当時の見解、さらに現在「Bスポット療法」を腎臓病治療に取り入れている内科医・堀田修氏による機序をご紹介しました。今回は「Bスポット療法」の実際の手技と臨床的な効果について伺いました。
「Bスポット療法」の手技
「Bスポット療法」治療の際に私が使用する器具と、具体的な手技の概略は次の通りです。
① 使用器具
鼻咽腔ファイバースコープ(以前は硬性鏡、今はフレキシブルファイバースコープ)、額帯鏡、鼻鏡、拡大鼻鏡、舌圧子、鼻用捲綿子、咽頭捲綿子、脱脂綿など。
② 使用薬剤
4%キシロカイン液、1%塩化亜鉛液、ボスミン5000倍液
通常はキシロカインと塩化亜鉛を同量で混合しますが、症状や治療時期に応じてそれぞれを単独で使用する場合もあります。
③ 技
まずキシロカインを浸ませた捲綿子を用いて鼻咽腔全体を麻酔します。キシロカインが血管に吸収されないようにボスミンを用いて血管を収縮させた上で、鼻咽腔ファイバースコープにより手早く粘膜の状態を観察します。健全な部位より炎症のある部位の方が、発赤が強く見えます。つづいて検査で確認した炎症のある部位に、鼻、咽の両面から塩化亜鉛を塗布してしみ込ませます。特に上咽頭部の天井面まで塗布することが留意点で、塗布が不十分で炎症部が残っていると、短期間に症状が再発する危険性があります。
「Bスポット療法」の効果
堀口教授の著書では具体的な改善例として、風邪、頭痛、顔の痛み、肩こり、めまい、低血圧、自律神経失調症、神経症、チック症、リウマチ、扁桃炎、糖尿病、膠原病、アレルギー、ぜんそく、口内炎、歯痛、歯槽膿漏、胃潰瘍、白ろう病、などが挙げられています。私の治療経験では、鼻アレルギーや鼻・副鼻腔炎などの耳鼻科疾患はもとより、嗅覚障害、味覚障害、うつ状態、音声障害、皮膚炎、などの治療で改善した症例がありました。症状は多岐にわたりますが、共通点として免疫力の低下が考えられるほか、上咽頭に自律神経が集中していることも症状の改善に関与していると推察されます。
堀口教授の教えを受けたことから、治療の際に上咽頭の状態を調べて治療することは私にとって至極日常的なことでした。
1994年以降20年間在職した知的障害者施設「埼玉県立嵐山郷」では、長期にわたって入所し生涯を終えられる方がほとんどでした。そこでは利用者の方に徹底的に治療できるという環境だったので、どのような症状が改善するかを知ることができ、また、その効果を内科の先生に知っていただく貴重な機会にもなりました。施設内では感染症が頻繁な上に、罹りやすく治りにくい、おまけに重症化しやすいという状況でしたが、治療を続けることにより肺炎が減少し、食欲が増して体力が回復するようになったので患者さんのご家族や担当する内科医からも非常に喜ばれました。特にダウン症患者は感染症に弱くて重症化し易いのですが、この治療で平均余命が大幅に伸びたのも特筆すべきことと思います。県内全域の障害を持つ方が対象で外部からは、医師の紹介状のある方のみ、受診が可能になり、多い時には1日60人前後の治療を行いました。ちなみに障害者の方を治療する時は治療前の準備が必要です。障害者歯科と同様に処置の際に若干の痛みを伴うため、寝台に横たわった患者さんにネットをかけ、保護者の許可を得た上で治療中の危険を避けるために拘束し、さらに職員に頭部を固定してもらって初めて治療を行うわけですから、1日60人が限界でした。
臨床における改善例
施設ではこんな症例も経験しました。
10代の女性。食欲が極端に落ちてしまう方で、「Rett症候群」という後天的に運動機能と知的障害を発症する遺伝性の疾患のある患者さん。内科でお手上げになりご家族にも万一のことを考えるよう伝えられましたが、私の提案で「Bスポット療法」を試したところ、かなりの出血が見られ、治療を続けるうちに症状が改善され、今もお元気に過ごされています。もう20年程前のことです。
また最近では鬱病を発症され、精神科で投薬治療をうけていましたが改善せず、遠方からBスポット治療を受けにこられて半年ほどで改善された20代女性の患者様もいらっしゃいました。
私の今日までの主な治療歴は次の通りです。
1962年4月〜1994年3月(東京)/治療回数6万回、患者数3千人
1994年4月〜2014年3月(埼玉)/治療回数5万回、患者数350人
2005年4月〜現在(東京) /治療回数9千回、患者数300人
医療関係者の反応
前例のない治療だけに、もし東医歯大で現在まで治療が続けられていれば、まったく新たな治療が展開し確立されていたのではないかという思いを禁じ得ません。
堀口申作教授退官の後、「めまい」、「聴神経腫」、「感覚器障害」、「頭頸部外科」専門の教授が次々と着任され、近年の東医歯大を見ると「Bスポット療法」の片鱗すら伺うことはできません。
堀口教授から直接指導を受けてこの治療を続けている弟子は僅かです。何人か開業している後輩に尋ねてみると、積極的に行っている医師は少数派のようです。治療時に若干の痛みが伴うため、開業医の立場からすれば、患者さんから嫌がれることは避けたいという思いがあるのでしょう。疾患が悪化していれば処置時に出血しますから、結果が出るまで治療を続けられるかが最大の課題です。そのためにはやはり丁寧な説明が不可欠です。平易であっても正確に理解していただくために、私は図を示しながら次のように説明しています。
① Bスポット(上咽頭)の場所。
② 炎症と主訴との関係。
③ Bスポットの粘膜面の繊毛細胞が破壊され、細菌などが付着したままになり、そこで増殖を繰り返すために炎症が慢性化しやすいこと。
④ 治療後は、塗布した薬が刺激となり、痛みや多量の鼻汁が出やすいこと。
⑤ 放置しておくと、炎症が周囲に広がったり、炎症の産物が他の臓器(腎臓など)に送られて病気を発生する危険のあることなど。
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2014年11月06日