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私自身が月刊「医薬経済」へ連載している部分の原稿を本ブログにて少しだけご紹介していこうと思っています。
もしよろしければご覧になってみてください。
■今回は「「過ぎたるは過ちなり」Bスポット療法普及の壁」から
「過ぎたるは過ちなり」
Bスポット療法普及の壁
古屋英彦氏も谷俊治氏と同様にBスポット療法の開発者である故堀口申作教授の教えを受け、今もその治療を実践する数少ない耳鼻咽喉科医の一人です。Bスポット療法の普及を左右する分岐点となった瞬間を目の当たりにした古屋氏に、時代の証人としてご登場いただきました。
鼻咽腔治療(Bスポット療法)との出会い
私が鼻咽腔炎の治療(当時はまだBスポット療法という呼称はありませんでした)を知ったのは、昭和41年4月に東京医科歯科大学耳鼻咽喉科学教室に入局した初日のことでした。教授だった堀口申作先生から鼻咽腔治療の説明を受けた後、新人4名が治療を受け、私は強い痛みで涙がにじみました。さらに風邪気味だった同僚はかなりの出血を伴い、少なからず驚かされました。そのとき堀口先生より、「この痛みと出血が鼻咽腔炎の本質であり診断の根拠になる」との言葉を戴きました。
当時は、多くの患者さんが鼻咽腔治療を受けるために大学病院に来られていました。先輩方の治療を受けた患者さんの評判や、一部の報道でこの治療が紹介されたことが主な理由だったと思います。
堀口先生は、「鼻咽腔炎を治すには1%塩化亜鉛だけで十分。他の薬は必要としない。塩化亜鉛は眼科では洗眼に用いられており、これほど安全なものはない」とよくお話しされていました。
先生は東大在籍時から続けてきた研究と臨床経験をもとに、鼻咽腔治療は研究するに値するという信念をお持ちで、その成果を昭和41年5月に日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会で宿題報告として発表されました。この報告がのちの鼻咽腔治療の普及に大きな影響を与えたことは後述することとします。
私は堀口先生が定年退職された時に医局長を務めていましたが、ちょうどこの頃に実家で耳鼻科を継ぐか、助教授として金沢医科大学で研究を続けるかという選択を迫られ、反対の声はありましたが地域医療の大切さを考えて昭和51年に開業医の道を選びました。
眩暈(めまい)・頭痛と鼻咽腔治療
私は、「めまいと鼻咽腔炎の関係」をテーマに学位を取得しました。当時は、一部のめまいは原因が判然としないまま、メリスロンなどを用いた薬物治療が一般的に行われていました。そこで、まだ解明されていないトリガーがあるのではないかという疑問のもとに様々な検査を行って症状を選別し、鼻咽腔炎との関係を5年間にわたって研究した結果、鼻咽腔炎の治療のみで改善するケースがあることを確認しました。今も鼻咽腔炎に起因するめまいが2割はあるのではないかという印象を持っています。
また、頭痛に関して言えば、頭痛の部位と鼻咽腔内部の部位には面白いほど関連があります。堀口先生の研究に、その後明らかになった点(スポット)を加えたものが図1です。鼻咽腔治療を行うと同時に頭痛が消失するケースも少なくありません。①
「鼻咽腔治療」普及への道
前述のように、「鼻咽腔炎」は昨年の診療報酬改定の発表においても疾患名としての記載はありません。ところが、保険請求上は「鼻咽腔炎」と記載して削られることはなく了解されています。ただし鼻咽腔治療は一切算定できず、丸めて12点(鼻・咽頭処置)です。この問題に限らず、耳鼻科は保険診療において非常に厳しい評価が続いているのが現状です。
大学の耳鼻咽喉科で鼻咽腔治療を継続して欲しかったのですが、治療を習得した医師が退職して次々に大学を離れ、学内で継承されなかったことが普及が進まなかった理由の一つでしょう。鼻咽腔炎に関してはむしろ小児科、内科(呼吸器科)の一部の医師に興味を持たれているようです。
1994年発行の鏡友会誌(神奈川・東京・他地区の耳鼻咽喉科有志会の同人誌)の堀口先生の最後の原稿によると、獨協医科大学の市村教授が神経学的の観点から鼻咽腔治療の有効性を示し、学外から評価されたことを生前の堀口先生は大変喜ばれていました。
現在では宮城県仙台市の腎臓病専門医である堀田修先生が、IgA腎症の治療に鼻咽腔炎治療を併用することの有効性を指摘しています。また、東京保険医療公社大久保病院では堀田先生が提唱する扁摘パルス療法を行っている古宇田寛子先生が、同様に鼻咽腔炎治療を実践されていると聞いています。ただし、肝心の耳鼻咽喉科医で堀口先生の門下生はわずか数十名となり、本当に細々と続けているというのが現状です。
文頭で、昭和41年5月に開催された日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会で堀口先生が宿題報告を行ったことに触れました。この報告の中で堀口先生が、「鼻咽腔炎に関する疾患はすべて1%塩化亜鉛のみの塗布で治すことができる」としたこと、さらに、「いろいろの難病にも有効である」と述べたことが当時の医学会の反発をまねき、普及に繋がるような活動は一切受けることが出来なかったのではないかと思料しました。このことが鼻咽腔治療の普及を阻む最も大きな壁ではなかったかと思います。
私は長年にわたって鼻咽腔治療を続けてきた経験から、この治療は西洋医学、漢方医学、リハビリテーション医学に併用して行うことで病態を早期に改善に導くことができる非常に有効な〝補助的治療〟という位置づけが適切であり、患者さんのQOLを向上させるものと考えています。こうした考え方が進むにつれ、僅かずつではありますが、逆風が緩和される兆しが見えてきたように思います。
私は在学当時に放射線科教授の故足立忠先生から癌の放射線治療を学んだ時、先生から「医療はやり過ぎたらかえって悪い結果を招くことがある。過ぎたるは過ちだよ」と教えられ、「過ぎたるは過ちなり」という言葉を医療に携わる上での座右の銘にしています。癌治療に限らず医療全般を通して、同じ疾患でも患者さんが異なれば治療も異なってしかるべき、と考えています。1%塩化亜鉛を用いた鼻咽腔治療が万病を治すわけではありません。この治療が普及するために最も大切なことは、疾患でなくまずひとりひとりの患者さんに目を向けることからだと思います。
赤字文章削除し、以下の文章①に続けて下さい。
鼻咽腔治療が有効な疾患は9月1日号で谷俊治氏が具体的改善例として述べていますが、鼻咽腔が様々の疾患のトリガーになる部位であると同様に自律神経と深い関係があることと、病巣感染症(IgA腎症・掌蹠膿胞症・その他)との関連を重視しなければいけないと思います。
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2014年11月06日